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ここでは、インプラント治療で起こり得るリスクについて解説します。
インプラント治療におけるリスクといえば、痛みや腫れ、埋入後の不具合などが挙げられます。
外科的手術をおこなうインプラント治療では、必然的にリスクを伴うため、しっかりと理解しておくことが重要です。
インプラントは埋入したあと骨としっかり結合することで固定されます。
インプラントが骨と結合していないと咀嚼するだけの強度がなく、グラグラして安定しません。
インプラントが固定されない原因として挙げられるのは、適切な位置や角度・深さに埋入されていないこと、または骨をドリルで削る際に骨にダメージを与えてしまったことなどがあります。
インプラント治療の副作用では、治療後のある程度の痛みや腫れは考えられます。
しかしそれが長引く・痛み止めを服用しても収まらないなどの場合は、治療が失敗している可能性も。
痛みや腫れが長引く原因としては、適切な位置に埋入されておらず、神経を損傷してしまっていることや、治療中に細菌感染をおこしていることなどが挙げられます。
インプラント周囲炎はインプラントが抜け落ちる大きな原因のひとつです。
インプラントは人工歯のため虫歯になることはありませんが、歯周病のようにインプラントの周囲が細菌感染をおこし、インプラントを支えられなくなってしまうのです。
インプラント周囲炎は治療中の細菌感染が原因の場合もありますが、多くの場合は術後のメンテナンスが不十分であることが原因です。
いくらインプラント体が骨と結合していても、被せものである人工歯が破損してしまうこともあります。
人工歯が破損する原因は噛み合わせが適切でない場合が多く、インプラント治療の際に正しい噛み合わせに調整できていないことで起こります。
また治療後に人工歯が外れてしまうこともあります。
これはインプラント体と人工歯を接続するアバットメントの締め付けが不十分な場合に多くみられます。
インプラント手術での死亡事故は多くはありませんが、前例はあります。
2007年に東京のあるクリニックで起きたもので、インプラントの切開手術中に動脈を損傷してしまい、処置が遅れて死亡する事故がありました。
動脈を誤って損傷すると大量出血がおこり、窒息してしまう恐れがあります。
この事故の原因は、動脈の位置を正確に把握していなかったためだといわれています。
その結果、インプラント治療をおこなう多くのクリニックでは歯科用CTを導入し、顎骨や動脈、神経などの状態を正確に把握できるように努めています。
インプラント治療におけるリスクとして「インプラントが固定されない」「人工歯が破損する」「治療後も痛みや腫れが長引く」「インプラント周囲炎になる」などを紹介しました。
このようなリスクに対し、クリニックではさまざまな対策をおこなっています。
たとえば設備面では「歯科用CT」を導入して事前検査で患者の口腔状況を正確に把握したり、治療中の細菌感染を防ぐために「専用オペ室」や「減菌器」などの減菌設備を整えたりしています。
またインプラント治療後もしっかり噛めるよう「噛み合わせ」を調整したり、「術後の定期的なメインテナンス」をおこなうことでインプラント周囲炎を防いでいます。
さらにインプラント手術中の死亡事故などのリスクを踏まえ、「生体管理モニター」の導入で手術中の患者の全身状態をしっかりと監視しているクリニックもあります。
リスクに対する取り組みはクリニックによって異なり、どのような体制を整えているのかを確認しておくことが重要です。
「歯科用CT」や「減菌設備」、「生体管理モニター」や「定期的なメインテナンス」など、受診するクリニックが環境を整えているかをチェックするようにしましょう。