インプラントには、1回の手術で行う「1回法」と、手術を2回行う「2回法」があります。
「1回法」では、歯茎を切開して顎の骨にインプラント体(ネジ)を埋入し、ネジの先端部分が歯茎から露出させた状態で骨と結合させる手術の“1回”で済ませます。そのため、その後のかぶせものを作っていく際に再び切開してネジの先端部分を露出させる手術が不要となります。骨との結合力が強ければ、ネジの先端部分にすぐ仮歯を付けることができます。ただし、インプラントを埋入する部分に骨の量が少ない人や感染のリスクが高い人に対しては1回法はオススメしません。
「2回法」は、歯茎を切開して顎の骨にインプラント体(ネジ)を埋入しますが、ネジは歯茎の中に隠した状態で骨と結合させる手術と、その後のかぶせものを作っていく際に再び切開してネジの先端部分を露出させる手術の“2回”が必要です。骨との結合を待つ期間がかなり長期間に及ぶ場合や感染のリスクが高い人に対しては有効です。
手術が1回で済む1回法は、“患者さんの負担が少ない”という広告をよく見かけます。でも、実際に負担が大きいのは骨にインプラント体(ネジ)を埋入する時で、それは「1回法」でも「2回法」でも同じです。2回法の2度目の手術(かぶせものを作っていく際に再び切開してネジの先端部分を露出させる手術)は短時間で済み、あまり痛みや出血もあまりありません。そこまで負担があるわけでもありません。治療法を決める際は、先入観をもたず歯科医と相談して自分に合う安全性が高い治療法を選択することが大切です。
1回法と2回法で、インプラントの料金はそれほど変わりません。ただし、1回法で手術をした後に完成形に近いしっかりとした仮歯を付ける場合には、その分の費用が別にかかります。
上・下各4本、又は各2本の歯をインプラントして、上顎と下後のそれぞれ12本の歯をすべて人工の歯にできる治療法です。イメージ的にはインプラントの先に付けた柱に“入れ歯を被せる”ような構造になります。
通常の入れ歯のように“歯茎の上に入れ歯を乗せる”のではなく、“歯茎から出ているインプラントの柱を支えに入れ歯を被せる”ため、非常に入れ歯は安定します。ただ、通常のインプラント治療に比べ、結局毎日の取り外しは必要ですから、大きなライフスタイルの変化はありません。「入れ歯からの卒業」というわけにはいかないのです。
また入れ歯の下は不衛生になりやすいため、インプラント周囲炎になりやすいです。
そのため、歯磨きのたびに入れ歯は外して、インプラントの柱の部分をきれいにお手入れする必要があります。
ただオールオン4は、インプラントする本数が少ないので、手術による患者さんの負担が少なく、費用も抑えられることは大きなメリットかと思います。
フラップレス手術は、歯茎を切開せずにインプラントする手術法です。
切開などがなければ、比較的術後の腫れを最小限に留めることができます。
骨が十分にあり、骨の移植や歯茎の整形が必要ないケースは向いているかと思いますね。
実はガイドシステムというものがあり、それがフラップレス手術を可能としています。
ガイドシステムとは、CT画像のデータをもとに、歯の角度や長さをプログラムしてマウスピースのようなものを作り、次に、そのマウスピースのマークに従ってドリルを入れれば、プログラムされた角度・長さの通りにインプラントを埋入できるというものです。
ただドリルの打ち込みを自動制御できるガイドシステムを使う場合は、利用料(約50,000円)が別途必要です。
インプラントするために必要な骨の量が不足している場合には、自家骨・人工骨・他家骨で足りない骨を補う骨造成の措置が必要です。
自分の骨である自家骨は、骨に馴染みやすく骨造成に向いていますが、別の場所から骨を取り出して移植する必要があるので、手術後に腫れや痛みが出やすくなります。
人工骨や他家骨の場合、自分の骨を切り出す必要がないので、その分患者さんの負担が少なくなります。人工骨には動物性と非動物性のものがあり、動物性の方が組織に馴染みやすいのでよく使われています。
しかし、アレルギーや宗教など様々な理由で、使えるものが限られる人もいますので、骨造成に何を使うか、事前に歯科医とよく相談しておくと安心です。
厚生労働省による「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」というスローガンが周知されたことで、歯を残すことにこだわって状態の悪い歯を抜かずに他の歯に悪影響が出ている患者さんも見られます。
歯を健康に保ち維持することは大切ですが、歯の状態によっては早期に抜歯をした方が良いケースもあります。無理に悪い歯を残すことにこだわらず、歯科医の診察を受けて適切な治療を受けていただきたいです。そのためにも、インプラントだけでなく気軽に歯の悩みを相談できる、かかりつけのクリニックをもつことをお勧めします。
本物の歯と、入れ歯・ブリッジ・インプラントの噛む力を比較したデータがあります。
本物の歯の噛む力を100%とすると
入れ歯:25%
ブリッジ:35%~50%
インプラント:80%~90%
このように、インプラントは入れ歯やブリッジよりも噛む力において優れています。
また、ブリッジの場合は残っている自分の歯を大きく削りますし、入れ歯は他の歯に負担をかけます。その点、インプラントは他の歯に負担をかけず、残っている自分の歯を大切にできる治療法でもあります。
しかし、インプラント治療に向かない人もいます。特に糖尿病の人は免疫力が下がってインプラント周囲炎になりやすいので、こちらからはインプラントを積極的に勧めません。
骨の硬さに不安がある骨粗鬆症の人にもあまりお勧めしていません。基礎疾患をもっている人は、歯科医とよく相談して安全な方法を選択することが大切です。
骨に埋入するインプラントだけの料金であれば、1本当たり30万円~40万円ぐらいが相場だと思います。
人件費、クリニックの運営費、設備費などクリニックによって異なるコストの条件が反映されるので、ある程度の幅はあります。
使っているインプラントのメーカーの違いも料金に反映されます。一般的にはメジャーなメーカーの質の良いインプラントは相場通りの価格帯ですが、最近では企業努力により質の良いインプラントを低価格で提供するメーカーも出てきました。
できるだけ長くインプラントをもたせるには、特に質の良いインプラントを選ぶことが大切だと思いますので、メーカーは信頼できる所を選びましょう。
インプラントした人のうち10年後も残っている人の割合は、全体の90%以上だといいます。しかし、逆に言えば残りの約10%の人はインプラント周囲炎などが原因でインプラントを失っているということです。
ほとんどの患者さんは、インプラントを一生もたせたいと考えているはずです。インプラントを長くもたせるためには、歯磨きなどのセルフケアを毎日しっかり行うことが大切です。
また、インプラント治療はネジを入れて歯を被せるだけで終わりではありません。定期的にクリニックで診察を受け、適切なメンテンナンスをすることも、長持ちさせるために大切なことです。
ストローマン社、ノーベル・バイオケア社、アストラテックインプラントシステム社の3社のメジャーなインプラントは、信頼性が高く品質も間違いないので、多くのクリニックで使われています。国内メーカーでは、京セラのインプラントも評判が良いです。また、韓国のオステムインプラント社の製品は、良心的な価格で質の良いインプラントを提供しています。
インプラントは患者さんの人生をずっと支えるものなので、質の良さはもちろんのこと、主要なメーカーを選んでおく方が無難です。引っ越した場合など、別のクリニックが治療を引き継ぐ可能性もあるので、メンテナンスに支障がないように、使ったインプラントのメーカーを歯科医に確認して記録しておくことも大切ですね。
当クリニックの特徴でもある「分かりやすい説明」と「丁寧なコンサルティング」が患者さんに支持され喜ばれています。
インプラント治療についても患者さんに説明する時は、“専門用語”を使わずに出来るだけ分かりやすく説明し、インプラントのメリットだけでなく、リスクについてもしっかり理解してもらうことを心がけています。その上で、患者さん自身が納得できる治療法を選択いただけるように、適切なタイミングで丁寧なカウンセリングを行っています。
※本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているものではございません。
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